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脱稿。思わぬご縁でいただいた仕事。先方も締切が迫っている中、僕のようなキャリアの乏しいライターで不安だったろうけれど、原稿を見て喜んでくださったので、ひと安心。

春の陽気に誘われて、ふらふら出歩きたくなるけれど、溜まっている仕事に取り掛かろう。

静嘉堂文庫美術館「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」

駆け込みで7日に終了の「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」へ。まるで春が来たような暖かさ。

初期鳥居派の紅摺絵の躍動、春章の肉筆画の風趣。時間の都合上、滞在時間は短かったが、小さな展示室に充満する江戸のエナジーを堪能。学芸員さんにご挨拶し、梅林を通って帰宅。

http://www.seikado.or.jp/info20200730.html

お仕事情報:和樂web

昨今さかんに、ビジネスシーンにおけるアートの有用性が説かれています。ならば、と「和樂web」にて、ビジネスパーソン向けの浮世絵講座の記事を執筆させていただきました。が、そもそも浮世絵はアートではない、というところからスタートしているので、あくまで教養とユーモアを身につけませんか、という話です。

以前「和樂web」編集部の方々と、日本文化に関する記事の「実用性」について話したことがありました。基本的に「実用性がない」というのが結論なのですが、じゃあどうやって実用性のない情報に興味を持ち、楽しんでもらえば良いのか、はカルチャー系のライターとして、「和樂web」に限らず、考えていかねばならないなぁと思っています。

今回は、こんな風に会話のネタになる、というあくまで試験的な執筆でしたが、もっとビジネスパーソンをターゲットにした媒体で、リトライしてみたいテーマだと思っています。

■ 北斎で語るグローバリズム! ビジネスパーソンのための一夜漬け浮世絵講座

追記:この「無駄」とのジレンマについて、和樂webの高木編集長が語ったインタビュー記事が12月20日に「PR Table Community」というウェブマガジンに掲載されています。併せてご一読を。

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来年1月から渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムで展覧会が始まるソール・ライターについて、広重の浮世絵との親和性という観点から、コラムを書かせていただきました。ソール・ライター作品に見られる日本美術からの影響については、元ICPのアソシエイト・キュレーターのポリーヌさんも指摘されているし、前回のソール・ライター展の公式サイトで太田記念美術館の日野原学芸員も触れていました。しかし、具体的な作例を挙げながら論じている文章は未だ無く、ぜひ挑戦してみたいと思っていたのです。

今回、展覧会の企画制作をされているコンタクトの佐藤正子さんには、内容のご相談から、記事の監修まで、本当にお世話になりました。また、展覧会公式図録に当たる写真集が、和樂webを運営する小学館から刊行される(しかも編集担当が大学時代の後輩)ということで、記事内にソール作品の写真画像をふんだんに使用することができました。さらに、三菱一号館美術館にお勤めの先輩のご厚意で、同時期に開催されるナビ派の展覧会の広報用画像もお借りすることができ、自画自賛ながら、非常に内容充実したコラムを作成することができたと思っています。

限られた時間の中で触れることができたソール・ライターに関する日本語のテキストは、それほど多くはありませんでしたが、いずれも彼の詩情豊かな作品世界への深い理解と愛、そして筆者の品性が感じられ、正直、かなりプレッシャーでした。それなりに文体に注意を払って書いたつもりですが、ソール作品と先人たちへの敬意が、少しでも形になっていればと願ってやみません。

ちなみに、当初、和樂web編集部に私が提出した原稿のタイトルは「猫と浮世絵と愛しき人と 写真家ソール・ライターの明るい部屋」というものでした。検索至上主義のウェブ媒体では許されないとわかっていても、いつかそういうことを一切気にしないでタイトルも好き放題つけられる場所で、文章を書いてみたいなぁと思います。

■ 未だ多くの謎に包まれている写真家ソール・ライター。ストリートスナップと広重の浮世絵には共通点があった!

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「和樂web」で、ライター陣が「日本文化の入り口」となるオススメの漫画を紹介する企画に参加させていただきました。私がご紹介したのは、崗田屋愉一さんの『大江戸国芳よしづくし』です。

崗田屋さんに初めてお会いしたのは、2016年。渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「俺たちの国芳 わたしの国貞」という展覧会の内覧会でお目にかかり、美術出版社が運営していたアートニュースサイト「bitecho」(現在は閉鎖)のライターとして、インタビューをさせていただきました。当時、崗田屋さんはちょうど「大江戸国芳よしづくし」を『漫画ゴラク』に連載中でした。

正直なところ、大学の卒業論文で芳年を取り扱ったものの、国芳はずっと射程圏外で、実は今も国芳の作風が好きかと言えば、それほどでもなかったりします。が、没後150年の「歌川国芳展」の会場の熱気は、いまだに記憶に鮮明で、私はあの会場に満ちるエネルギーに、大きく励まされたように思います。そして国芳が生んだカルチャーには非常に共感するところも多く、国芳ファンが好きそうな熱さを意識しながら記事を執筆しました。結果、非常に熱苦しくて密度の高いレビューになりました。

ただ、そうした熱さが伝わったのか、この記事が契機となり、浮世絵画像をお借りした「挑む浮世絵」展会場の福岡市博物館にて、『大江戸国芳よしづくし』が販売されることになりました。これは非常に嬉しかったです。自分の記事が、誰かのアクションに繋がる……まことに以て、ライター冥利に尽きます。どうか、熱い想いを抱いた福岡の若者たちに、この漫画が届きますように。

■ 我武者羅に浮世を生きるヒーローたちへ|崗田屋愉一『大江戸国芳よしづくし』【漫画レビュー】

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「和樂web」にて、町田市立国際版画美術館の「美人画の時代」展について、担当学芸員の村瀬さんのインタビューをベースにご紹介しました。

国内の所蔵品を集めたものとしては、今後20年はお目にかかれないのではないかと思われる超・名品展。これだけの作品を集めた学芸員の熱意に頭が下がりますが、ただ集めて並べただけでなく「浮世絵黄金期」の評価の再考をうながす明確なテーマ性をもった展示構成は、本当に素晴らしいです。

とは言え、一般受けする展覧会ではないので、美人画の歴史を追ったり、個々の作品の解説をするのではなく、敢えて「美人画のわかりづらさ」についての話を中心にしました。ご一読を。

■ 浮世絵のゴールデンエイジって?歌麿も清方も、名品240点が町田に集結!「美人画の時代」展

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「和樂web」にて、歌川国芳に関する展覧会紹介&小説家インタビューを掲載いただきました。

現在、太田記念美術館で開催中の「歌川国芳 ―父の画業と娘たち」展では、国芳の画業を年代順に紹介しつつ、40代のときに生まれた二人の娘、「とり」と「よし」についても紹介しています。この娘たち、実は二人そろって浮世絵師。浮世絵師の娘が絵を描いている例は、北斎の娘・応為をはじめ、さほど珍しくもないのですが、今まで認識されていた以上に、父親の国芳のアシスタントをしていたことがわかってきました。

そして、長女の「とり」を主人公にした小説が、河治和香さんの『国芳一門浮世絵草紙』。この小説自体は、すでに5巻で完結しているのですが、河治さんが現在、小学館の雑誌『きらら』に「ニッポンチ!」という小説を連載されていることから、インタビューを行わせていただきました。

失礼ながら、ほんの一言、二言のコメントをいただければ、と思っていたところ、とても丁寧で愛のあるご回答をいただき、ほぼほぼそのまま掲載させていただきました。『国芳一門浮世絵草紙』は、個人的に文庫本第3巻に掲載されている尾張徳川13代藩主・徳川慶臧公と、「藤ぽん」こと芳藤のエピソードが大好きです。河治先生、そしてご担当の矢沢さまに心から感謝いたします。

■ 親娘そろって浮世絵師! 展覧会と小説で楽しむ国芳と二人の娘の物語

親娘そろって浮世絵師! 展覧会と小説で楽しむ国芳と二人の娘の物語