美術館を出て、complex665とピラミデビルのギャラリーをいくつか梯子する。TOMIO KOYAMA GALLERYでは、パウロ・モンテイロというブラジルの作家の個展をやっていた。ミニマルな感じだが、作品の大小・形態を問わず、語りかけたくなるような、どこか愛着のわく動物くささみたいなものがあって良かった。OTA FINE ARTSでは、十年前に亡くなった松澤宥の展覧会が開催されていた。
求職中から一年余り通った街をふらふらと歩きながら、清澄白河駅方面へ。まだ肌寒いものの、夕暮れに川縁を歩くのはやはり気持ちがよい。途中、祭りの準備なのだろうか、二カ所で集会をしているらしい人声と拍子木の音が聞こえてきた。TAP galleryをのぞくと、鈴木隆朗さんの写真展を開催していた。資料館通りに出ると、いくつかの店舗が変わっていたけれど、一番賑わっていたのは相変わらず大衆居酒屋のだるまだった。
無人島プロダクションでは、Chim↑Pom展「The other side」を開催していた。「ボーダー」をテーマにした、メキシコとアメリカの国境沿いで制作したアートプロジェクト。少なくとも僕自身にとっては、地続きに隣国がある、という状況は余りリアリティのあるものではくて、Chim↑Pomの今回の一連の作品は、政治的な境界における問題や不条理を、視覚的にシンプルかつダイレクトに提示しているように思った。ギャラリーの壁には、簡単に乗り越えられるような貧相な国境壁の片側に、自由の国アメリカへ入国できない人々が暮らすスラムが拡がる様子が映し出されていた。